ポケットブラックホール

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クラスメイトの山田くんはいつも左手をポケットに突っ込んでいる。
山田くんは右利きなのでノートを取るのに支障はないが、野球をすることもドッジをすることもできない。
何でも左のポケットはブラックホールに繋がっていて、塞いでいないと危険らしいのだ。
「いいこと考えた!ポケットから手を離した瞬間にガムテープで止めよう!」
名案とばかりにそう言えば、山田くんも快く賛同してくれた。
「でも大丈夫かな」
「すぐに塞ぐから平気さ!」
ガムテープを準備して、僕は山田くんの側で待機する。
左手がポケットから離れたその瞬間、勢いよくガムテープで塞いだ。
「やった!成功だ!」
嬉しくなって山田くんとハイタッチしようと顔を上げたが、なぜか誰もいない。それどころか目の前は真っ暗で何にも見えない。いつの間に太陽は沈んでしまったのか。
遠くの方で「だから言ったのに」と、山田くんの残念そうな声が聞こえた。
SF
公開:19/02/01 21:19

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