北風のリベンジ

8
7

「太陽君、僕と勝負だ!あそこのチョコレート。あれを溶かしたほうが勝ちだ」
北風がそんな事を言ったのは、旅人のコートを脱がせる対決をした数週間も後の事だった。
コイツ面倒臭い奴だったのか。
見ると、四角い台の上に布がかけられ、その真ん中に板チョコが1枚置いてある。不自然だ。イカサマの匂いがする。けど、なんでもいいから、さっさと終わらせよう。
「いいよ」
僕はメラメラとチョコに熱を浴びせた。しかし季節は冬。気温は上がらずチョコは溶けなかった。
「よし僕の番だ」
北風はびゅううと息を吹いた。チョコじゃなくて、隣にある大きな風車へ。風車は風を受けてグルグル回った。すると四角い台が赤く光り、みるみるチョコが溶けていった。なるほど。風力発電で電気を生み出し電熱線に通して、その熱でチョコを溶かしたのか。
「どうだ、僕の勝ちだ!」
やれやれ。そこまでして勝ちたいなんて。僕よりも熱い北風なんてウンザリだよ。
ファンタジー
公開:19/02/01 20:10

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容