「イノシシ」

4
7

墨汁がたっぷり注がれた、漆黒のスズリ決闘場。ここでは様々な動物たちが日々熱い闘いを繰り広げていた。
この世は弱肉強食。敗れた者は墨に染まり食される運命。
この墨は特殊な原材料で作られており、体に付着すると炭火焼きになる。

今、決闘場で大きなイノシシと小さなイノシシの二頭が睨み合っていた。ザッ、ザッ、と後ろ脚を蹴り上げている。
ゴォーン、と開戦の合図が鳴り響くと同時に二頭が猪突猛進、駆ける。
額と額が激突した。
小さなイノシシがあっけなく弾かれ、尻餅をついた。お尻には墨汁のあとが二つ。
トドメだ! と言わんばかりに大きなイノシシが襲いかかる。
血飛沫が舞った。
飛び掛かってきた大きなイノシシに小さなイノシシが噛み付いたのだ。
そして、そのまま食し始めた。
決着が付く前に食するのは反則行為。
お尻に二つの焦げ目を付けた小さなイノシシは、反則した理由をこう言った。
「胃の指示(いのしじ)、さ」
その他
公開:19/02/02 23:44

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容