時計旅行

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妻の出産を間近に迎えたある日、俺は父に誘われ街の片隅にある時計店に来ていた。
時計なんてスマホがあれば必要ないのに…俺は父と共に店内のエレベーターに乗り込む。
父はエレベーターに身に着けている腕時計をはめ込むとパネルに時間を打ち込んでいく。何しているんだ?
エレベーターが動き出す。到着し、扉が開くと俺は目を疑った。
そこは病院だった。しかも目の前には若き日の父がいた。何だここは?
看護婦さんが赤子を抱いて部屋から出てきた。その奥には若き日の母がいた。
『おめでとうございます。元気な男の子ですよ』
あれは…俺?
「このエレベーターはな、時計が記憶している場所に行けるんだ。俺も昔、親父にここに連れてきてもらってね。だから子供が大きくなった時、絶対にこの最高の1日に連れてこようって決めていたんだ」
そう話す父は俺に腕時計を差し出した。
俺は腕時計を身に着けた。俺もいつか子供をここに連れてこよう。
ファンタジー
公開:19/01/31 19:00
更新:19/01/31 19:24

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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