ワンワンワワーン

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校庭にある飼育小屋の掃除を終え、施錠していると「ワン」と聞こえて振り向く。
誰の悪戯か、キリッとした眉が描かれた犬がお座りしてこちらを見ている。ご丁寧に片側は剃り込み風だ。
可哀想に思い洗ってやると、下駄箱脇に備えられた、呪われていると噂される全身鏡の前へ走って行き、すぐさま走って戻ってきて「ワン」と鳴く。
「新しく眉毛を描いて欲しいのかも」
友の言葉で、試しに眉を描くと、全身鏡の前まで走って行き、戻ってきて「ワン」と鳴く。
「眉毛の形が気に入らなかったのかも」
変わった犬だと思いつつ、別な形の眉を描く。
幾度も書き直し、冗談のつもりで海苔の様な長方形の太眉を描くと、鏡から戻ってきた犬は僕に飛びついてきた。
勢いに押され尻餅をついた僕の顔をベロベロと舐め回し、「ワンワンワワーン」と鳴き残すと、どこかへ走り去って行った。
「一体誰に見せるんだろう」
その言葉に僕はあの子の顔を思い浮かべた。
青春
公開:19/01/30 23:34

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