チョコレートの休息

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 受験は、私にとって「強制的に働かされている」という感覚だ。学校、塾、家に帰って復習予習。その他、ご飯、お風呂、睡眠、ほんの少しの自由時間を計算すると、いかに効率よく動かなくてはならないかがわかる。
 とにかく疲れるのだ。今もとある問題が解けず、ついに諦めて机に突っ伏した。働かされすぎて頭が働いていない。
 ふと、横に視線を向けた先、数粒のチョコレートが転がっていた。徐ろにそのフィルムを剥がして、口に放る。
 とろけるチョコレートの甘さが舌をじいんと痺れさせた。背筋から脳天、腰に甘い痺れが通っていく。
 そうだ、少し休もう。休んだらこの窮屈な強制感もなくなって、きっと上手くいく気がする。
 私は教科書を閉じると、ベッドに倒れた。
 疲れたら休めばいいのに忘れていた。きっと寝て起きたら、疲れもいくらかマシになるだろう。解けなかった問題も解けるはずだ。口の中の甘いチョコレートのように。
青春
公開:19/02/01 06:46
更新:19/02/01 06:48
日常 疲れたら休もう

小麦

本業は絵描きなので、小説は下手の横好きです。
拙いですがよろしくお願いいたします。

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