スローワーク

仕事に疲れ果てた俺は、スローワークに訪れた。

職員に話をしようと窓口を訪れる。

「スローライフを送りたいんだ」
「そうなんですねぇ。ええっと、それではぁ」

男はのろのろと資料を取り出した。
あまりの遅さに思わず舌打ちをこぼしそうになる。

「早くしてくれ急いでるんだ！」
「そうですかぁ。ではまず……こちらの説明を……」

のろのろと話し続ける職員は、俺がどれだけ急かしても急ぐことはなかった。
次第に怒っても無駄だと気付いて、俺は職員に合わせるようにした。

「……というわけでしてぇ。理解できましたかぁ？」
「つまり……スローワークの支援を受けるには、ええっと、この体験ってのを、しなくちゃならないんだなぁ」
「そうなんですよぉ」

ところで、その体験ってやつは、何なのだろうか。
不思議に思って尋ねると、職員は、のろのろ……いや、案外普通の早さで答えた。

「ここの職員体験ですねぇ」