しあわせ村

しあわせ村の住人は皆幸せである。
あまりの心地よさに、一度村を訪れた人はそのまま住み着いてしまうという。

そんな噂を聞き付けて、俺はしあわせ村を訪れた。
本当にここの住人が幸せなのか調査する為だ。

村に入ると、確かに住人たちは皆幸せそうに暮らしていた。
誰に話を聞いても自信満々に「幸せです！」と返すのだ。
しかし理由を尋ねても、皆「幸せです！」としか答えなかった。
薄気味悪くなってさっさと町を出ようとしたが、なぜか出口が見つからない。
来る時に入ってきた入り口が、見当たらなかったのだ。

迷ってしまったのかと思い住人に道を尋ねても、やはり皆「幸せです！」としか答えない。
苛立って住人の肩を押してやれば、どさりと音を立てて地面に倒れた。
やりすぎてしまった。慌てて手を差し伸べると、住人はにこりと笑った。

「幸せですか？」

何を言っているんだと反論する為に口を開く。

「幸せです！」