天使がくれたもの

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夜空を見上げて歩いていたら、天使が空を飛んでいた。
僕は我が目を疑って、眼鏡を拭いて掛け直した。それでも天使はそこにいてぼくは周りをきょろきょろした。ほかの人はスマホを見ながら歩いてた。イヤホンをしながら歩いてた。それかうつむいて歩いてた。あぁ、月を見ながら歩いている人もいた。
誰も気がつかなかったけど、月のない空を天使が横切ったんだよ。
天使の飛んだ先を追いかけると線路の脇の公園で少年の姿をしたそれが子猫を抱いていた。
「私の姿が見えるなら、子猫をもらって帰ってよ」
天使は僕に猫を押し付けて、空中へ浮き上がった。
「私が連れて行けるのは、天国だけだから。あなたが猫を大事に育てたら一番欲しいものをあげるから」
天使は遠くに飛んで行って、僕と猫が残された。
僕の猫は11歳、宝くじは11年間外れっぱなし。僕は独身、仕事はなんとかやっている。一番欲しい物は、富か名誉か愛情か。ううん、猫の健康だ。
ファンタジー
公開:19/01/28 20:31
更新:19/01/29 22:08

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