紊乱役者 第二話

「みんな、あまり乗り気じゃないのかなぁ…」
「違うよ先生。田中くんだよ。ほら、」

「俺が主役になりたいです！」
また田中くんが真っ先に手を挙げた。

「田中はすぐ主役になりたがる。」一人の子の不満が漏れた。

「でも確かに、彼はもう七回も主役だ。」

「また彼が主役ですか？」

「先生！」

それでも主役になりたいと手を挙げている彼を見て、私は彼のことをたしなめようとした。

すると突然、ずっと木として立っていただけの脇役の子が言い出した。
「みんなで木の役をして、森を作ろう」

「森？いいねぇ、劇はそうやって作るものだよねえ」

「そうだね。じゃあ僕は木でーす」

「僕も木でーす」

子供達が次々続々と、僕も木がやりたいです僕も木がやりたいですと言い出した。

「（困ったなぁ…）」