人ガラスープ
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記者歴38年。最後の取材はこのラーメン店と決めていた。やさしい味と絶賛されるスープの秘密を、できるだけ聞き出そうと意気込んで来たのだ。
なのに、店主は事もなげに…。
「そうかあ、今までご苦労さまだったね。それくらい教えてやるよ」
信じるかどうかは任せるけどさ、とも付け加えて聞かされたレシピは、確かに素直に信じられるようなものではなかった。
「ガラって言っても、うちで使ってんのは人柄でさ。材料は人柄が滲み出そうなもんなら何でもいいのよ。手紙とか写真とか。それをスープかけてるかまどの火に放り込む」
秘密はそれだけ。でも最近、仕入れが難しくなってきたと肩を落とす。
「やさしい人、減ってきてるのかなあ。妥協したもん入れると、やっぱ味がトゲトゲするんだよね」
店主は私に向き直り、目に涙を浮かべて呟いた。
「あんたの記事、もうなくなっちゃうのか。一大事だな、こりゃ」
なのに、店主は事もなげに…。
「そうかあ、今までご苦労さまだったね。それくらい教えてやるよ」
信じるかどうかは任せるけどさ、とも付け加えて聞かされたレシピは、確かに素直に信じられるようなものではなかった。
「ガラって言っても、うちで使ってんのは人柄でさ。材料は人柄が滲み出そうなもんなら何でもいいのよ。手紙とか写真とか。それをスープかけてるかまどの火に放り込む」
秘密はそれだけ。でも最近、仕入れが難しくなってきたと肩を落とす。
「やさしい人、減ってきてるのかなあ。妥協したもん入れると、やっぱ味がトゲトゲするんだよね」
店主は私に向き直り、目に涙を浮かべて呟いた。
「あんたの記事、もうなくなっちゃうのか。一大事だな、こりゃ」
その他
公開:19/01/29 22:23
400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。
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