緊箍刑

「被告に７年の懲役と終身の緊箍刑を言い渡す！」

スマホを見ながら車を運転し、人を轢き殺した俺に判決が下った。
煽り運転とは違い、そこに殺意がなかったことから俺の刑は軽くなった。
７年は長いがそれでも危険運転致死傷罪にならなくて良かった。俺は遺族に謝りながらもホッとしていた。
それにしても緊箍刑？禁固刑なら分かるが一体どんな罰なんだ？
裁判が終わると俺の頭に何かがつけられる。何だこれ？輪っか？
遺族が俺に向かって御経を唱え始めた。ぐっ！頭が痛い！締め付けられるようだ！
ひそひそと話声が聞こえる。
「あれが西遊記の孫悟空が着けていたと言われる緊箍児か…しっかり御経に反応して被告の頭を締め上げているみたいだな。当然の報いだ」
何だって！俺は一生この苦しみを背負わなきゃならないのか！
嫌だ助けてくれ！俺は遺族に懇願し、手を伸ばす。
遺族は俺が被害者を轢いた時と同じ、冷たい目で俺を見下ろしていた。