お数えさん

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その婆さんのことを、皆お数えさんって呼んで避けてた。
何でお数えさんかというと、いつもブツブツ数を数えながら歩いているから。確かに気味悪いけど、皆がお数えさんを避けるのはそれが理由じゃない。
お数えさんはいつも視線を落として数を数えながら歩いているのだけど、時たま、歩いてる人に視線を合わせ、数を言う時があるんだ。30と言われた人が30日後に死んだとか、6と言われた人が半年後に死んだとかいう噂が経ってから、皆怖がって近づかない。

学校からの帰り、工事してる場所を通るのが面倒で、いつもと違う道を通ったのが間違いだった。スマホを見ながら歩いていたら、気付くのが遅れた。前からブツブツ数を数える声がする。お数えさんだ。
お数えさんはすれ違い様に顔を上げると、俺を見て13と言った。え?13って言った?
一瞬硬直し、怖くなり走り出した。
後ろから、お数えさんの声が追ってくる。

5…4…3…2…1
ホラー
公開:19/01/27 10:36

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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