男の正体
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男が私の方に向かって歩いてくる。歩きスマホをしているのでこちらに全く気づいていないようだ。
「危ない!」ぶつかりそうになって、思わず肘を掴むと機械の腕が落ちた。
「ごめんなさい、人前であんなことをしてしまって」
私は駅前の喫茶店へ誘った。
彼は教師として高校に派遣されたアンドロイドだった。
教師の労働時間の長さが問題になっている。心の病で休職する者も多い。そこで実験的に導入されたのだという。
「仕事は楽しい?」
「勉強につまずいている生徒が、先生のおかげで分かったと言ってくれる。嬉しいですよ」
なかなか良い先生じゃないか。
ちょっと優等生すぎるな。ふと意地悪な質問をしてみたくなった。
「生徒の中で、気になる子はいますか?」
「……はい」
「彼女は今大学受験の真っ只中です。志望校に合格するまではそっと見守るつもりです」
彼は顔を赤らめた。
「卒業式には、絶対気持ちを伝えます!」
「危ない!」ぶつかりそうになって、思わず肘を掴むと機械の腕が落ちた。
「ごめんなさい、人前であんなことをしてしまって」
私は駅前の喫茶店へ誘った。
彼は教師として高校に派遣されたアンドロイドだった。
教師の労働時間の長さが問題になっている。心の病で休職する者も多い。そこで実験的に導入されたのだという。
「仕事は楽しい?」
「勉強につまずいている生徒が、先生のおかげで分かったと言ってくれる。嬉しいですよ」
なかなか良い先生じゃないか。
ちょっと優等生すぎるな。ふと意地悪な質問をしてみたくなった。
「生徒の中で、気になる子はいますか?」
「……はい」
「彼女は今大学受験の真っ只中です。志望校に合格するまではそっと見守るつもりです」
彼は顔を赤らめた。
「卒業式には、絶対気持ちを伝えます!」
その他
公開:19/01/27 23:25
更新:19/01/28 23:22
更新:19/01/28 23:22
54字の物語「男の正体」リライト
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