宝石樹海

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最終回は、環境問題について論じてみようと思う。

宝石の珊瑚(さんご)と言えば、熱帯魚の泳ぐ珊瑚礁をイメージされる方は多いだろう。だが実際、市場に流通する珊瑚は、深海で産出される。
深海にも、かつて樹海の様に、珊瑚が茂っていた。乱獲により、現在は採取規制が布かれる程、激減している。業者は生体を離れた切片に限って加工を許される、とは聞くものの、密漁は後を絶たないはず。宝石店に並ぶ全てが合法とは、到底思えない。

ただ、最も深刻な被害を及ぼすのは、漁業だ。底引き網が海底を掻き回し、傷付ける。年に数cmしか成長しない深海の珊瑚は、壊すなら数年。再生には数百年掛かる。
レッドデータに載った宝石の樹が、現在幾つあるのか。この先幾つ増えるのか――。

やや後ろ髪を引かれつつ、私は書き終えたページを、画面の海に投じる。
もし僅かでも、何か変わる契機になれば。そんな宝石より稀少な夢を、心の底に抱きながら。
その他
公開:19/01/29 03:05
更新:19/01/28 21:41
深海生物シリーズ⑧(最終回) 珊瑚(さんご) 長らくの潜水、お疲れ様でした。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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