愛の手紙

不幸の手紙ならぬ、愛の手紙というものが回ってきた。

「自分を愛してくれている人、10人にこの手紙を回せ。一週間以内に回さなければ、自分を愛する人間がこの世からいなくなる」と書いてあった。
いつの時代も、こういうくだらないものが流行るらしい。

自分を愛する人10人か。そんなにいるだろうか。
両親、恋人、友人、幼なじみ……。多く見積もっても6人ほどしか思い付かない。
仕方ない。どうせこんなものガセだ。10人にも満たないのだから、回したって意味がないだろう。
俺は手紙を放置した。

一週間後、案の定手紙はガセだったようで、俺を愛してくれる人は誰もこの世からいなくならなかった。