盗まれた子ども

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マリさんは泥棒だ。
昔、ある夫婦に娘がいた。その子は病気で体の一部を入れ替えなければ助からないと言われた。けれど、両親のどちらも自分の体を子どもにあげることが出来なかった。
その夫婦に次の子どもが生まれた。新しい子どもの体は、姉の体と相性がよくて、その子が何年かして大きくなったらお姉さんに体を少し分けてあげることにしようと大人たちは決めた。
だけど、夫婦は迷った。下の子の体をどうするのか、自分たちで決めてしまっていいのかと。
悩む夫婦の前に大泥棒が現れた。
「上の娘にぴったりの体の部品を盗んでこよう。そうすれば、下の子は体を切られなくてすむ」
夫婦は抱き合って喜び、大泥棒に感謝した。
「ただし、盗みがうまくいったら報酬をもらう。何を貰うかは私が決める」
大泥棒は上手くやった。姉は健康な体を手に入れた。
そして、大泥棒は報酬として下の子どもを盗んでいった。その子をマリと名付けた。
ファンタジー
公開:19/01/23 10:48
更新:19/01/23 17:47

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