177. 母さんの鼻唄

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『フンフンフ~ン♪』
母が珍しく鼻唄を唄っている。
「何か良いことがあったの?」
『あなたの今度の合宿の食事なんだけど、私の働いてる会社が担当になったのよ。今日決まったらしくて』
「あぁそうなんだ~。美味しいのを期待してるよ」
『モッチロンよ』
母は嬉しそうに返事をした。

僕はいま中三なのだが、三月上旬に通ってる塾の最後の追い込み合宿が二泊三日で始まるのだ。
しかし合宿の前日、母が授業料を払い込むのを忘れていたと謝ってきた。
『本当にゴメンね…。でもあなたは行かなくても勉強出来てるから受験は大丈夫よ』
そういう訳で僕は行けなくなり、母だけがその会場に食事を作りに行った。

三日後の夜、塾から電話がかかってきた。合宿で今日の昼御飯を食べた者が殆どノロウイルスにかかったので当分塾は休みになるということだった。

『これで受験が少し楽になるかもねぇ~♪』
また母が鼻唄を唄い出した。まさか……。
ミステリー・推理
公開:19/01/22 23:00
更新:19/01/24 00:11
スクー 合宿も視野に入れたノロウイルス

ことのは もも。( 日本 関西 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていこうと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

カントー地方在住
 

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