隣の留学生

私の経営するアパートに去年、エジプトからの留学生・トトさんがやってきた。
トトさんは知恵の神で日本を知りたくて留学してきたと話す。日本語がとても流暢だ。
知恵の神と聞くと頭でっかちの嫌な奴、みたいなイメージがあるがトトさんは優しくてとても気さくだ。その知識でいつも私達を助けてくれている。
だから私達はトトさんが勉強に集中出来るよう、食事のお世話をすることにした。
「大家さんの料理、とても美味しいです！」
そう言ってくれるものだから私もつい張り切って作りすぎてしまう。
トトさんはどんどん太っていった。
『おめぇ、それじゃトトロみてぇだな！』
トトさんの隣の住人、タケさんにそう言われ、トトさんは大喜びだ。
「僕、あの作品大好きなんです！」
それ以来、トトさんは皆にトト郎と呼ばれるようになった。
トト郎さんが今どうしているかって？
私の２人の娘をお腹に張り付けて、傘を片手に空飛んでくれているわ。