屑を食べて生き延びる

4
4

からんこ、ころんこ。
低い鈴の音が響いた。
薄暗い店内でしゃらしゃらと商品達が命を奏でる。両腕を広げればいっぱいの狭い通路の両脇に、背の高い棚がずらりと並ぶ。一瞬ぎょっとするほどの圧迫感。だけれども奥だけはべらぼうに広い店である。
この店には照明がない。商品をよく魅せるためなのだと店主に聞いた。完璧に美しく配置された無数の商品達は自ら、金に、赤に、橙に燃え上がり、あるいはその光を柔く映し出し、白に、蒼に、銀に、輝く。
いのち、である。
あるかなしかの命の囁きを聞きながら薄闇を奥へと進む。畏れるほどに繊細な模様を眺め、戯れに手に取って、ひんやりと心地好い残酷さを確かめた。
悲しいかな、アンティークな珠のどれもこれも、値が重すぎて手が出ない。憧憬に溜息をつき、安い屑を一袋だけ買った。
「毎度。星屑一袋、百二十」
様々な珠の削り屑。彗星の尾を混ぜて練ると、これはこれで美味なのだ。
ファンタジー
公開:19/01/24 21:43

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容