明日の命

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あと何回お風呂に入るのだろう。そんな事を思いながら、湯船を洗っていた。

今から半年ほど前に、巨大隕石が地球に衝突すると発表されてから生活は一変した。何と言っても一番微妙なのがその隕石衝突までの猶予が後約1000日あるという事だ。発表から半年過ぎてしまったから、とは言えあとまだ2年以上はある計算になる。

間違いなく衝突する、と全世界一斉で正式な発表があってから人々は泣いたり絶望したりそれは大騒ぎだったが今では色んなことが中途半端だ。

明日死ぬのとは違って、ちょっと忘れられるくらい余裕があるうちに知らされたものだから危機感が薄れてきて、一日中ゴロ寝する様な日もあるし、かと言って真剣に明日のために働く人も減ったからお金を使う意味も場所もない。

まだ猶予はあるからと生き延びる方法を一生懸命探す偉い人々もいると聞く。

風呂が沸いた。でも、必ず死ぬという実感はやっぱりまだわいてこない。
ファンタジー
公開:19/01/21 22:47

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

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