熱い1本をくれないか
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私は休憩に席を立った。午後はバタバタだったから、なかなか1本に行く時間がなかったのだ。
休憩室のベンチに座り、ポケットからプラスチックのケースを取り出す。綺麗に整列した薄桃色から、程よい大きさのものを1本取り出した。
隣に同僚の新生が座る。
「岩下1本くれ」
私は黙ってケースを差し出した。
「悪いな」
ポリポリポリポリポリポリ。
新生姜のピリリとした爽やかな辛味が口の中に広がり、さっきまでダルかった思考がクリアになっていくような気がした。
「あら、また二人で仲が良いわね~」
「姜」
同期で入った姜はサバサバした美人だ。
「私にも1本くれない?」
休憩室に社員たちのポリ音が心地よく響き渡る。カーッとお腹の奥から熱さが沸き上り、最後の一口を放り込むと、私は立ち上がった。
「おい、もう1本くれないか。特別熱いやつを」
「お前も好きだな」
私はにやりとして、一番デカい1本を抜きとった。
休憩室のベンチに座り、ポケットからプラスチックのケースを取り出す。綺麗に整列した薄桃色から、程よい大きさのものを1本取り出した。
隣に同僚の新生が座る。
「岩下1本くれ」
私は黙ってケースを差し出した。
「悪いな」
ポリポリポリポリポリポリ。
新生姜のピリリとした爽やかな辛味が口の中に広がり、さっきまでダルかった思考がクリアになっていくような気がした。
「あら、また二人で仲が良いわね~」
「姜」
同期で入った姜はサバサバした美人だ。
「私にも1本くれない?」
休憩室に社員たちのポリ音が心地よく響き渡る。カーッとお腹の奥から熱さが沸き上り、最後の一口を放り込むと、私は立ち上がった。
「おい、もう1本くれないか。特別熱いやつを」
「お前も好きだな」
私はにやりとして、一番デカい1本を抜きとった。
その他
公開:19/01/21 22:43
更新:19/01/22 15:07
更新:19/01/22 15:07
岩下の新生姜
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
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