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気の進まない送別会だけど、あのお店は魚料理が絶品だと知っていたので行くことにした。
もう私は今日付けでこの会社は辞めてるんだし、上座とか気にしない。
だから一番奥の隅の席に座った。

「君が居なくなるなんて淋しいよ。僕は明日から何を楽しみにすれば良いのかな?」
早速、私がこの会社を辞める原因となった主が側に来た。
「君には入社当時からあんなに目をかけてたのに結局僕には全く目もくれなかったね」

私は食べることに集中したいのにコイツは最後まで私の邪魔をするんだな。
私はカマ焼きから箸で丁寧に目玉を掬い出し、隣の皿にポトリと落とす。
「魚の目で良かったら」
ソイツは一瞬停止した後、何のことか理解できずに話を続けようとしたが、その魚の目が気になるのか漸くその場を立って離れていった。

「私は魚には目がないんですよ」
そうポツリと呟くと私は改めてカマ焼きと一対一となり、再び箸でそれをつつき始めた。
その他
公開:19/01/21 23:00
更新:19/01/21 23:50

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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