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「ファイナル・スターライト・スラッシュ!」
暗雲と血煙と殺意が満ちた空間へ雄々しき声が響く。
その声と共に鋭い煌きが刃となり、殺意の主を切り裂いた。
ついに魔王は討ち果たされたのだ。勇者である私の手によって。
疲労困憊の私は後を仲間に託し、眠りについた。

ゆっくりと瞼を開ける。目の前には見慣れた天井があった。
「また同じ夢か。」
周囲を見れば、放置された衣服に山のようなゴミ袋。
鏡の前に立てば、汚いオッサンが映る。
(夢の中で夢と気づける。確か、明晰夢と言ったか。)
この夢の内容はいつも変わらない。
会社に行って、怒鳴られて、帰宅したら酒を飲んで、布団に入る。
布団に入って瞼を閉じれば、夢から覚める。
信頼できる仲間達との最高の一日が始まるのだ。
どんな壁が立ちはだかっても、切り開いてみせよう。
それにしても、毎晩見るあの嫌な夢はどうにかならないだろうか。
今度、神様にお願いしてみよう。
ファンタジー
公開:19/01/21 20:06

普通のへいわじん

月の音色にて噂を聞きまして。
よろしくお願いいたします。

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