空を染める

空の色が薄れる。その隙間を狙い、ほんの少し橙色を差す。雲が優しくクリーム色になったのを確認し、黄色を重ねる。そうして幾重にも黄と橙を重ね合わせ、最後にそっと紅を挟むと、空の端に、燃えるような夕焼けが広がる。
丁寧にじっくりと夕焼けをなぞっていくと、さらに上、はっとするような青空が、わずかに緑がかるのが分かる。日暮れの合図だ。藍色を取り出し、空全体を染めていく。暖かい色、冷たい色。全体の色がとけあわさり、包み込まれ、夜を告げる。そして、黒色。これは、一回だけ。ゆっくりと念入りに塗っていく。それでも塗りむらができてしまうのは、星に彩りを添えるため。
薄れ、消えゆく色、現れ、その存在を主張する色。うつろう色々を重ねていくうちに青空は夕焼けになり、夕焼けは星空へと変わる。