だらしない時の君が好き

ぼさぼさ寝癖にすっぴんで、パジャマのボタンは２つ取れ、片膝めくれて起きてくる。
「ん、ふ、～あぁ～あ～」
三重に化けた目を擦り、大口開けて欠伸して、ヘソ丸出しだぞって突っ込むのも今更の、ぐだぐだ全開。
せめて歯ブラシ咥えて歩き回るなよ。それでもって、そのままトイレ直行は勘弁しろよ、とか思ってる間に洗面所リターン。おっさん系うがいで、鏡に水しぶきとくしゃみまで飛ばす。まったく見れたもんじゃない。
これが外じゃバリバリのキャリア。相棒は六法全書と訟廷日誌。正義の女神をこよなく愛す、法と秩序のガーディアン。
「あ～も～面倒臭い。お腹すいたご飯まだ？あと今何時？今日の出廷、さぼっちゃまずいかなまずいよね、でも正直気が乗らないっていうか、眠いし怠いし寒いし嫌んなっちゃう……」
タイトスーツにハイヒール、銀縁眼鏡で武装した君が、鎧を脱いだ後の顔。
僕だけが知ってる無防備。そんなだらしない時の君が好き。