タケノコ人材

「タケノコのような人材を採れ」
部下の奥菜にいつも言う言葉だ
タケノコは顔を出してからの成長スピードが早く、すぐ竹になる
その後も節間が伸び、１日で１メートル成長することもある
おまけに真っ直ぐ育つ
我が社では急激なスピードで成長し、全てが自分の養分になると信じて吸収する人材が欲しいのだ

新入社員が来た
それはカーディガンのようにタケノコの皮を羽織る女の子だった
「タケノコ採れって言ってたじゃないですか」
例えだと伝わっていなかったのか
雇った以上クビにはできない

彼女は優秀だった
１ヶ月でかなり成長した
２ヶ月後には欠かせない存在になった
見た目はしだいに竹に近づいていった
本物のタケノコ人材だった
そして完全に竹になった頃、先っぽから顔をだして言った
「天井にあたりそうよ、ここでは働けないわ」
その瞬間、一筋の光が差し彼女は月の方へ上がって行った
まさか１ヶ月後、月支社が出来るとは