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目覚めると、男が扉のテンキーを触っていた。
「自分、当選金もらう途中だったッス」
俺は、これまでに試したことを話してやった。
「金持ちになれたのに残念だったな」
「イイッス。貯金20億あるんで5億くらい」
「アホか」
「先輩が試してないこと、三百個思いついたッス」
そして男は「ラジオ体操第七」とか「新しいヨガ」的なことを、毎日続けた。
ある時、男が足を踏ん張って腰を落とした。
「かぁ~」「お前…」「めぇ~はぁ~」「アホか」「めぇ~」ハァーッ!
何か出た。俺たちはひっくり返り、壁に穴が開いた。
「先輩、お先ッス」
穴は、男が出ると塞がってしまった。
「かぁめぇはぁめぇ~はぁー」
「ぁー」だけが部屋に響く。「アホか」と俺は膝をついた。そこに、5億の引換カードが落ちていた。
テンキーに番号を入力すると、カード挿入口が開いて…
今俺は、自分がまだ試していないことを、毎日試している。
「自分、当選金もらう途中だったッス」
俺は、これまでに試したことを話してやった。
「金持ちになれたのに残念だったな」
「イイッス。貯金20億あるんで5億くらい」
「アホか」
「先輩が試してないこと、三百個思いついたッス」
そして男は「ラジオ体操第七」とか「新しいヨガ」的なことを、毎日続けた。
ある時、男が足を踏ん張って腰を落とした。
「かぁ~」「お前…」「めぇ~はぁ~」「アホか」「めぇ~」ハァーッ!
何か出た。俺たちはひっくり返り、壁に穴が開いた。
「先輩、お先ッス」
穴は、男が出ると塞がってしまった。
「かぁめぇはぁめぇ~はぁー」
「ぁー」だけが部屋に響く。「アホか」と俺は膝をついた。そこに、5億の引換カードが落ちていた。
テンキーに番号を入力すると、カード挿入口が開いて…
今俺は、自分がまだ試していないことを、毎日試している。
ミステリー・推理
公開:19/01/19 10:23
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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