桃太郎の種

お婆さんが川で洗濯をしていると大きな桃が流れてきた
「絵本で見た！」
お婆さんはそう思った
さっそくお爺さんに報告し、巨大包丁でザクっと切った
もちろん中から桃太郎が出てきた
「絵本通りじゃ！」
二人は叫ぶ

だが絵本と違うこともあった
中に種が入っていたのだ

二人は子育てに奮闘するかたわら、庭に種を植え、世話を始めた
枝を整え、きびだんご汁をやり、イヌ・サル・キジなど害獣と戦う日々
一人前の木になった頃、すでに桃太郎は鬼ヶ島へ行っていた
二人は木の世話に集中できるので、桃太郎がいなくなって喜んだ
そして初めて桃の実が生る
初年度は２５個の収穫だった
割って見ると、どの果実にも赤ん坊が入っていた
彼らは桃次郎・桃三郎……桃二十六郎と名付けられた

そして半年後、桃太郎が帰宅
まず二人はイヌ・サル・キジら害獣を追い払った
そして桃太郎が鬼から取り返した金銀財宝を見て叫んだ
「養育費じゃ！」