仕送りロンダリング

14
11

大学寮に入って一月程経った頃、実家から仕送りのダンボールが届いた。部屋に運ぶ途中で東さんに出くわした。入寮の時からお世話になってる先輩だ。
「仕送りか?見せてみろよ」
東さんは強引に部屋までお仕掛けてきて、勝手に箱を開けた。
「カップラとお米は定番だな。それとパジャマ、このタッパーは漬物か…。いらないものある?」
「漬物とパジャマは別にいらないッス」
「これは自家製?」
「はい。婆ちゃんの自慢の漬物です」
「よし。じゃあ俺に預けろ。悪いようにしないから」
東さんは部屋を出ていくと、1時間程で戻ってきた。
「戦利品だ」
冷凍されたカニと五千円を渡されて驚いた。
「物々交換だよ。健は漁師の息子で漬物大好きだから」
まさか漬物がカニに変化するとは。この人は仕送りの錬金術師か。
「パジャマは?」
「達也を騙して試着させて写真撮った後、佳彦が一万で買ってくれたよ。あ、これ内緒な」

…大学寮の闇だ。
青春
公開:19/01/19 23:48
スクー 仕送りロンダリング 佳彦再び

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容