十二支の幹事確認/亥 (完)

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 魔女はお姫様だった。愛する王子様を失って、魔女は魔女になった。
 呪いで動物になった魔女の力たちは、魔女をお姫様に戻してあげたくて、館の庭に集まった。
 猪が言った。
〝今年は亥年だから、ワタシが生贄になろう。ワタシに皆の呪いを集めよう〟

 紫のチューリップが、どこまでも一直線に並んで咲いていた。
 決して曲がらず、振り返らずに続いていく紫の道を、魔女は馳せた。

 いの一番に飛び出して、現世の果てまで駆けた魔女の宝物。
 もう返らないその宝物を、魔女は弔いにゆく。

 やがて空が紫に染まり、世界が紫に染まると、魔女はそれが自分の罪悪感の色のように錯覚した。

 永遠に続くと思われた紫の道の果てに、使い切った口紅のスティックが転がっていた。
 魔女はそれを土の中に埋めて、美しく長かった髪を切って捧げた。
ファンタジー
公開:19/01/19 22:44
更新:19/01/22 14:54
十二支の幹事確認 連作 (完)

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