十二支の幹事確認/戌

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 少年は母親の回復を願うため、夜ごと窓の外に流れ星を探していた。
 少年を心配した狼は、満月の晩に力を蓄えて、流星がもっとも輝く新月の晩を待った。

 新月の晩。

〝ワオオオオオオオオオン〟

 狼が一つ遠吠えをすると、流れ星が一つ煌いた。
 しかし夜更かしを続けて疲れてしまった少年は、窓際で眠っていた。

〝ワオオオオオオオオオン〟

 眠っている少年のために、狼は何度も遠吠えをして、いくつも星を落とした。

〝ワオオオオオオオオオン〟

 また星が流れて煌いた。まるで世界が泣いているような夜だった。
 やがて空が白みだした。その朝、少年の母親は目を覚まさなかった。

「あの子はもう大丈夫。母親の祈りは届いたよ」
 魔女は、夢の中で我が子を抱く母のように、狼を抱きしめた。狼は煌くラメパウダーになった。
ファンタジー
公開:19/01/19 22:43
十二支の幹事確認 連作

10101298

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