十二支の幹事確認/酉

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 少女は電柱の影に身を隠した。その視線の先では一羽の烏が、植え込みの土に頭を突っ込んで穴を掘っていた。
 少女は学校で教わったことを思い出していた。烏は光る物が好きで、人間の子供の目を狙う。烏は賢く、人間の顔を覚える。そして攻撃されれば後で仲間を連れて復讐にくる。
 烏が穴から頭を出すと、その異形に少女はますます動けなくなった。烏の頭はすっかり毛が抜けていて、まるで人間の顔みたいに見えた。お墓を掘る悪魔のような不気味さに、少女は本能的に背を向けられなかった。
〝ア゛ッ、ア゛ッ、ア゛ッ、ア゛ッ〟
 烏が真っ黒な翼を広げて笑った。
 少女が泣きたくなって母を想うと、とつぜん電柱が女の人になって、少女の頭を優しく撫でた。綺麗なおばさん、と少女は思った。
「ふふ、おばさんはやめなさい」
 魔女は烏を捕まえると、ばりばりと両の翼をもいで千切った。烏の翼は魔女のつけまつ毛になってしまった。
ファンタジー
公開:19/01/19 22:42
十二支の幹事確認 連作

10101298

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