君とお酒を②
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飲みつけの店のカウンター席、物憂げに俯く美女一名。
波打つ赤毛。黒いイブニング。テーブルをなぞる指先が悩ましい。
よし、今夜のターゲットは彼女に決めた!
「お姉さん、何処から来たの?」
「……海の向こう」
端正な横顔。潤んだ声の艶っぽさにぞくぞくする。
「お近付きの印に、一杯驕ろう」
「優しいのね。でも結構よ、お若い方」
「世辞にしては皮肉だな。そう言う君は幾つなんだい?」
「女に齢なんて、あってない様なもの」
くすりと微笑み、瞳が真っ直ぐ僕を射竦める。
金縛り?身体が動かない。うねうねざわめく髪、いや無数の蛇。
「生憎、お堅い人は見飽きてるの。ごめんあそばせ」
「メデューサか……」
赤い蛇達を揺らし、去りゆく黒衣を見送りながら、僕は溜め息した。
「危なかった。石にされちゃ、ラブシーンどころじゃないな」
波打つ赤毛。黒いイブニング。テーブルをなぞる指先が悩ましい。
よし、今夜のターゲットは彼女に決めた!
「お姉さん、何処から来たの?」
「……海の向こう」
端正な横顔。潤んだ声の艶っぽさにぞくぞくする。
「お近付きの印に、一杯驕ろう」
「優しいのね。でも結構よ、お若い方」
「世辞にしては皮肉だな。そう言う君は幾つなんだい?」
「女に齢なんて、あってない様なもの」
くすりと微笑み、瞳が真っ直ぐ僕を射竦める。
金縛り?身体が動かない。うねうねざわめく髪、いや無数の蛇。
「生憎、お堅い人は見飽きてるの。ごめんあそばせ」
「メデューサか……」
赤い蛇達を揺らし、去りゆく黒衣を見送りながら、僕は溜め息した。
「危なかった。石にされちゃ、ラブシーンどころじゃないな」
ファンタジー
公開:19/01/17 00:00
更新:19/01/16 23:46
更新:19/01/16 23:46
夜の住人達のラブゲーム
②メデューサ
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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