君とお酒を①
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飲みつけの店のボックス席、優雅にグラスを傾ける美女一名。
流れる金髪。真紅のドレス。つんと澄ました表情も扇情的。
よし、今夜のターゲットは彼女に決めた!
「お嬢さん、お名前は?」
「……ヨウコ」
案外と和風?いや中華か。ボーンチャイナと見まごう白磁の肌。
「お近付きの印に、一杯驕ろう」
「初対面で口説こうなんて、命知らずね、坊や」
「坊やとはご挨拶だな。そう言う君は幾つなんだい?」
「女に齢を訊くものじゃなくってよ」
かき上げた髪から覗く、大きな三角耳。
ドレスの腰に靡く九本の尻尾。突如旋風が巻き、店の外まで吹っ飛ばされた。
「千年後に出直してらっしゃい、坊や」
「金毛九尾の、妖狐さんか……」
店裏でゴミ袋に埋もれ、立ち去るヒール音を聞きながら、僕は思った。
「相手が悪かった。百八歳の若造じゃ、到底釣り合わないな」
流れる金髪。真紅のドレス。つんと澄ました表情も扇情的。
よし、今夜のターゲットは彼女に決めた!
「お嬢さん、お名前は?」
「……ヨウコ」
案外と和風?いや中華か。ボーンチャイナと見まごう白磁の肌。
「お近付きの印に、一杯驕ろう」
「初対面で口説こうなんて、命知らずね、坊や」
「坊やとはご挨拶だな。そう言う君は幾つなんだい?」
「女に齢を訊くものじゃなくってよ」
かき上げた髪から覗く、大きな三角耳。
ドレスの腰に靡く九本の尻尾。突如旋風が巻き、店の外まで吹っ飛ばされた。
「千年後に出直してらっしゃい、坊や」
「金毛九尾の、妖狐さんか……」
店裏でゴミ袋に埋もれ、立ち去るヒール音を聞きながら、僕は思った。
「相手が悪かった。百八歳の若造じゃ、到底釣り合わないな」
ファンタジー
公開:19/01/17 00:00
更新:19/01/16 23:45
更新:19/01/16 23:45
夜の住人達のラブゲーム
①白面金毛九尾の妖狐
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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