174. 傘オバケ

10
9

小雨が降りだした夕方、ベランダの扉を
コンコン
 コンコンッ
と叩く音がする。まさか不審者……!?
ビクビクしながらそっとレースのカーテンを開けた。

正面に人の姿は無かったが、視線を少し落とすと傘の形をした一本足の妖怪が立っていた。
それはネットで見たことのある姿ソックリで一つ目だったが、私は不思議と怖いとは思わなかったので扉を開けた。

「どうしたの?なぁに?」
傘オバケはベランダにあるパラソルハンガーを大きなベロで巻き上げこちらに差し出している。
「ありがとう。でもこれは使えないの」
私はそれを受け取り広げて見せた。
「アッアー‼」
傘オバケは驚いて少し後退りし修理に出さないのかと言ってるようだ。
「これは傘じゃなくて洗った着物を干すものなのよ」
「アーーーー!!」

ようやく納得したのか、ピョンッと飛び跳ねペコリとこちらへ頭を下げ、そのままピョンピョンと恥ずかしそうに跳ねて行った。
ファンタジー
公開:19/01/18 23:00
更新:19/01/18 23:06

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容