そんな成仏、

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「だからね自殺じゃないのよお。バスタオルで頭を拭いててね、髪がタオルに絡まって首がこう引っ張られたのね、で、わたしも落ち着いてやればよかったんだけど、何かムキになっちゃってタオルをぐいぐい横に引っ張ってね、そしたらパキンて…」

生まれて初めて見た幽霊は明るく、自分の死因を説明し同時に娘が自殺したと思っている両親の誤解を解かないと成仏できないと泣いた。

「大丈夫、うちの父親『ありえない事こそ真実』が口癖だから」と言う幽霊に押し切られわたしは彼女の実家を訪ねた。

インターホンを鳴らし出てきた幽霊の父親にわたしは幽霊から聞いた話全てを伝えた。父親は少しだけ肩を震わせ、潤んだ瞳でわたしを見つめ、


「そんな事あるわけねぇだろうがあ!!」


と怒鳴った。その途端隣で何かがパンと弾けたような音がした。見ると幽霊が霧になってたゆたっていた。

「ずるぅ!そんな成仏?」口から思わず声がこぼれた。
ファンタジー
公開:19/01/18 13:17
更新:19/01/18 13:25

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

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