ギター

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「俺さ・・・バンド、やめようと思っているんだよね。俺らみたいなアマチュアバンドがうれるわけないっしょ」

楽屋裏で、裕也と知己は喧嘩をしていた。

「そもそもさ、俺はバンドを遊びでやっていきたいんだよ。何、知己は張り切っちゃっているの。夢を追いかけている自分がかっけーとか思っているんじゃねの」

裕也は知己の胸ぐらをつかむ。
知己は胸ぐらを掴みかえし、壁に押しつけた。

「夢をみちゃいけねーのかよ。俺達はちっともかっこよくねーよ。でも、こうして生きていかなきゃ、バンド続けていかなきゃ、くさんだよ。裕也が現実を見たいのはわかるけど、俺はわかんねーよ。ざけんなよ。ざけんなよ。くそやろう」

知己は裕也に捨て台詞のように吐いた。
裕也はひっかき傷のある顔を横に背けた。

「俺達も現実をみなきゃ、だめなんだよ」
床に置いたギターケースを持ち上げることが出来なかった。
青春
公開:19/01/17 22:34

神代博志( グスク )









 

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