森の住人の武勇伝

　今日は森の住人が一堂に会する日。
最初に蛙が前に出た。

「井の中の蛙大海を知らず。　それも今日まで。　私はこの森を抜け海に行ってきました」
「それだけではなくさらに海を泳いで偶然漂流していた人間の船を見つけて助けてやりましたぞ」

　周囲からどよめきがあがる。
次に話し始めたのは尺取虫。

「僕らの天敵が鳥なのは先日まで。　僕は鳥を返り討ちにしました」
「その後その鳥に乗って人間の町に行き道路に沿って低空飛行をしてきましたよ」

　尺取虫は続けた。

「人間が何かの道具を向けて僕らをなんとか蠅呼ばわりしていましたが失礼な話です」

　周囲も人間はそんな区別もつかんのかと騒ぐが老木がまとめに入る。

「儂が友人の蜜柑の意を伝えてお開きとしようか」
「尺がないんですね」

　尺取虫が言うと笑いが起きた。

「発端は人間の世界で起きた。人はここから何かを学ぶ事が出来ると思うか否か、じゃな」