プロパガンダ

【人間は争い合う生き物だ】
そんな言葉を信じたミュージシャンが反戦ソングを作った
「僕らは地球市民、争い合う必要なんてない♪」
嘘っぽい世界観にまみれた歌だった
やがて全世界に広がり、人々が口ずさんだ
影響された人々は反戦映画を製作し、公開した
鑑賞した人々は熱狂し、何らかの影響を受けて帰った

ピープルは、世界の現状をテーマに話を始めた
中には意見の違うものが出て来た
各々、自分の正義を掲げ主張を繰り返した
討論はやがて口論になった
そして暴力へと昇華した

似た意見を持つものは集まり
別の意見を持つ集団を罵り、プラカードを掲げ、火炎瓶を投げた
世界は暴動が日常化した都市で溢れ、死人が出た
どこも元々平和な場所であった

「大成功だ」

インテリジェンスたちは両側に武器を供給した
軍事企業の株価は上がり投資銀行は莫大な利益を上げた
反戦ソングのプロデュースより儲かったことは言うまでもない