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僕の望んでいた理想とは、人間の住みやすい街の中で平穏無事に極ありふれた普通の生活をすることであった。

しかし、いつの間にか、人間達は互いの幸福を奪い合い、嫉妬し合い、争いを始めた。

幸福を手に入れられるのは一部の人間のみであり、もしも、幸福を手に入れたとしても耐えることなく争いは続くのであった。

勿論、僕も幸福を手に入れるために、鬼の形相をし、優しさを武器にしてナイフを握りしめて戦いに望んでいた。

命乞いをする弱者に対して、手を差し伸べることは一切なく、勝つか負けるかただそれだけを求め、見捨てるのであった。

僕の顔には、浴びるほどの血が塗られ、ナイフからポタポタと朱がしたたり落ちていた。

近くにいたレポーターが勢いよく僕のもとに駆けつけ、インタビューをした。

「あなたは今幸せですか?」

「いや、これが幸せだというのなら守り続けます」
公開:19/01/14 20:21
更新:19/01/14 20:26

神代博志( グスク )









 

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