消火器怖い

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 暇人愚連隊ども。今日も与太郎いぢめの相談に明けくれる。
 そういャあいつ、消火器が怖いらしい、とハチ公。座ァ一気に盛り上がる。奴ァ消火器見リャ足ィ竦んじまって。防火訓練で白い粉ァ噴き出した途端、目ェ回しちまった。そいつァ面白ェ。追い込んで粉塗れにしちまえッ。何? 大家? 詰め替え詐欺ン時の小麦粉入りなら、文句ねェサ。在庫処分もできて一石二鳥だぜェ。てんで…
 土蔵に呼び出された与太郎、消火器抱えた愚連隊の面々に、散々追い掛け回されて、とうとう土蔵の角に丸まっちまった。サァ仕上げだ。全員で与太郎囲んで一斉噴射!ビュービューゴホン、ビュービューゴホン。
 濛々と粉が舞う中、ギィーガチャンと、土蔵の重たい扉が閉まる音がした。愚連隊の連中、目エ擦りながら扉ァドンドン叩いた。隙間から笑う与太郎の顔。
 ヤイ与太郎。お前ェ本当に怖いのは何だ!
 本当は、粉塵爆発が怖い。
 お跡は木っ端微塵だそうで。
ミステリー・推理
公開:19/01/12 13:38
更新:19/01/12 19:13

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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