出囃子

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出囃子が鳴った
センターマイクに向けて歩く

「ワンダフルメンチカツですお願いします」
『願い事ですか?』
「挨拶や」
『最近、引越し考えてて』
「理想の家とかあるん?」
『天王寺徒歩5分で、梅田徒歩5分』
「どんな家や。環状線沿ってんのか!」
『御堂筋線や』
「どっちでもええわ」

客が笑う
相方の目には涙が浮かんでいる

『天井高い家が良いな』
「ええやん」
『突き抜けの家』
「吹き抜けや!え、電車通そうとしてる?」

僕の目頭も熱くなる
僕たちは今日解散するのだ

『部屋にロフトも欲しい』
「屋根裏みたいでええやん」
『そっちじゃなくて、雑貨屋の』
「バカなん?」
『東急ハンズも欲しい』
「競合他社!」

客席は笑いながら泣いている
劇場も笑いながら泣いている

『もう引越しやめて町おこしするわ』
「好きにせえ。もうええわ」

最後にいい景色を見た
出囃子で催眠術をかけていてよかった
ファンタジー
公開:19/01/13 15:48
更新:19/01/13 15:52

西木( Tokyo/Tokushima )

コツコツ書きます。
皆さんの素敵な作品を読めて幸せです。
84(20190624 回転)

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