否定家

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俺は文学批評家をしている
批評家というよりは批判家で、もっというと否定家だ
尖った意見で、あらゆる穴を見つけてほじくり回す
初めは嫌いな作品があり批判しただけだった
それがウケたので批判しまくった
周りもそれを求めた
キャラがついた

今では面白いと思う作品でも批判している
スタッフのためだと思っていたけど、気がついたら生活レベルを落とさない手段となっていた
そのキャラは本当の俺を超えた
「否定しろ」という脅迫観念が俺を支配する
ファンもアンチも多い
詳しくいうと、薄いファンと濃いアンチが多い
特に実害を被った作家には果てしなく恨まれている
このままでいいとは思っていない
誰かを否定する声はもうあげたくない
最後くらいは肯定したい

「ええで」
そんな事を言ったのは久しぶりだった
俺の首を握っていた作家は叫び、手を離した
俺の肉体は岩にぶつかり海に消えた
ほんの少しだけ自分を好きになれた
ミステリー・推理
公開:19/01/12 23:09
更新:19/01/12 23:50

西木( Tokyo/Tokushima )

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最近のSSGのレベルの高さに驚愕しております。

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