「クチナシ」

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クチナシの花が悩みを抱えていた。
「どうしたの?」
「私、どうも品(ひん)がない気がするんですよねぇ」
「そう? 綺麗に咲いてるじゃん」
「もうちょっと、こう……品格が欲しい、と言いますか」
「あ、口がないからだ!」
「口?」
「そう。口、描いちゃえば良いんだよ。それも三つ!」
「それ、化物になりませんか?」
「大丈夫! よし、描くよ!」
こうして、クチナシの花は口を三つ描く事になった。そして……。
「ほら、品格!」
「これ、もしかして……『口を三つ』で『品』、『描く』で『格』って事なのでは?」
「考察しちゃダメ!」
「詐欺じゃないですかぁ」
「それより、クチナシの花言葉は知ってる?」
「いいえ」
「『私は幸せ者』や『喜びを運ぶ』よ。どう?」
「素敵ですね!」
「でしょ。あんた良い香りのする純白の花だし品もあるから自信持ちなさい! 私なんて臭いラフレシアなんだから」
「あぁ、どおりで……」
その他
公開:19/01/10 23:53
更新:19/01/11 00:58
品が良い特殊詐欺 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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