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「地球を救う術をいつか持ち帰る」
選民達がそう誓って地球を旅立ってから50年が経過した。残された者達は、選民の帰りを待つことを諦め、滅びを受け入れた。人類に破壊し尽くされた地球は限界を迎えていた。資源は枯渇し、生物は死に絶え、残された時間は僅かだった。
「花火を打ち上げよう」
絶望の中、そう発言した者がいた。
何故?
この星に生きている者がいることを知ってもらうためだ。
誰に?
それはわからない。宇宙か、神様か。
神様なんかいるものか。
いや、火星に移住した選民達が我々に気づくかもしれない。
選民はとっくに宇宙の藻屑だろうよ。
いや、この花火は希望だ。生きていた証だ。

そうして人類最後の大花火が作られた。残された者達は、この花火が絶望を救うパスポートとなる事を願った。

ドーーーン!

特大の花火が夜空に打ち上がり、火花が星屑となって大地に降り注いだ。

届け。
私達はここで生きている。
ファンタジー
公開:19/01/10 23:22
更新:19/01/10 23:42
スクー 星屑になるパスポート

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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