ある深夜のカレンダー

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 これはある閑静な住宅街のあるお家のある一室のある深夜のカレンダーの中での出来事である。
 家人が寝静まった真夜中。金曜日が文句を言い出した。
「僕って結構、たくさんの人たちから支持されているよね」
 他の奴らをギロッと睨みつけてうそぶいた。
「でも僕の扱いは他の平日たちどもと同じじゃないか?!」
 土曜日や日曜日が言い返した。
「僕たちだって週末週末って一括りにされてさあ。たまには週の真ん中にいってみたいよ」
 ようやくそこで金曜日は気がついた。金曜日は金曜日そのものだから喜ばれるのではない。明日あさってが土、日曜だからこそ喜ばれるのである。金曜日そのものには何もない。特別なものはない。ないものはない。他の平日たちと同じだ。仮に毎日が金曜日だとしたら楽しくないだろう。金曜日が気づいたところで、土曜日、日曜日は静かになった。
 翌朝、いつもと変わらないカレンダーに朝の光が差していた。
その他
公開:19/01/10 22:44
schoo ないものはない金曜日

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