街の香気
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喜びの綱と、哀しみの綱とか、怒りの綱とか、そういったものが、張り巡らされていて、身動きがとれない、とか。少なくとも随分と制限されているのは確かだ。だが、赤外線センサーのようなトラップが張り巡らされている状況と比べれば、まだマシな方なのだろうか?そう考えると、退屈な日常もいくらかスリリングに思えてくるというものじゃないか。
「誰がトム・クルーズや!ばかたれが!」
私は慌てて馴染みなき高すぎる鼻をもぎ取って、そのへんの壁に全力で投げつけた。
壁に張り付いた鼻は、こんな世界の臭気にはもう耐えられない…と言わんばかりに憔悴した様子を見せ始めたので気の毒になって、周りにちょっとした花壇を拵えて花々で彩ってあげたら、それで彼もなんとか気持ちを持ち直したようだ。
今では、摘み取ったパンジーなどを近付ければ即座に吸い込む愉快な鼻としてすっかり有名だ。
彼がバンクシーを超える日は、近い。
「誰がトム・クルーズや!ばかたれが!」
私は慌てて馴染みなき高すぎる鼻をもぎ取って、そのへんの壁に全力で投げつけた。
壁に張り付いた鼻は、こんな世界の臭気にはもう耐えられない…と言わんばかりに憔悴した様子を見せ始めたので気の毒になって、周りにちょっとした花壇を拵えて花々で彩ってあげたら、それで彼もなんとか気持ちを持ち直したようだ。
今では、摘み取ったパンジーなどを近付ければ即座に吸い込む愉快な鼻としてすっかり有名だ。
彼がバンクシーを超える日は、近い。
青春
公開:19/01/11 10:54
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