誰かのあめ

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私はいつも傘をさしている。晴れでも雨でも夏でも冬でも。いつも雨が降っているから。

雨が降っているのは誰かの涙。
外に出るときは、その涙が私に語りかけてくる。
「大丈夫」と何度も言う。
「私がそばいる」と繰り返す。
隣に居合わせた人に怪訝そうな顔をされる。でも私には関係ない。

しばらくすると小雨になる。そして完全に止んだら、私は家に帰ることができる。だからいつも帰宅が遅くなる。その涙につきあう体。家の周りと何度もグルグル歩くこともある。

友達に打ち合けると「なにそれ」と言われた。確かにそうだ。信じられないだろう。何気ない言葉と分かってる。でもその日から私は友達を作らなくなった。

誰の何の涙か知らない。そんなことはどうでもいい。今日も傘をさす。
これが私の生きる理由になっているから。

だから、今日も寄り添う。
「大丈夫」と。
「私がそばにいる」と。
ファンタジー
公開:18/10/18 12:04
更新:18/10/19 12:39

junsamhyper0521( 東京都 )

脚本・演出の仕事してます。ショートに関しては「白帯」なので頑張ります。
ここからすごい世界が広がるイメージをしてます。
twitter https://twitter.com/kunpulovesall
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