貧乏お役立ち会社

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 壁にひびが走り、天井にクモの巣が張ったオフィス。何か月も風呂に入っておらず、加齢臭を漂わせる社員。ここは神様の世界にある、貧乏神派遣会社。僕はそこで楽しく働いている、新人社員・フクだ。え、貧乏神なんていらない?そんなことない!
「フク、今日の飲み会来るか?この前の任務達成祝いだ」
ベテラン社員のキンさんだ。
「ぜひぜひ!あのSランクの任務達成したんですか!?さすがです!」
「いやあ、骨が折れたよ。あの悪徳政治家、しこたま裏金をためこんでた上に隙がない。三か月もかかっちまったよ」
 そう、この会社は、不当な手段で金持ちになった人間を失脚させるために、貧乏神を派遣する。悪を成敗し、神様の世界で最も尊敬を集める会社なのだ!
「そういや今度の任務、Aランクらしいな。期待してるぞ」
キンさんが黄色い歯を見せてニッと笑った。
 辞めたいなんて、定年まで一度も思わないだろう。
ファンタジー
公開:18/10/18 02:26
更新:18/10/18 20:57

中江光太( 東日本と西日本の間 )

読んでくださりありがとうございます!

小さいときから本が好きで、
一年くらい前からちょくちょく小説を書いています。

主に推理小説を読みますが、
最近は別のジャンルもときどき読みます。

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